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経営理念
会社概要

治療と経営

「鍼灸治療というと東洋医学とか民間療法といった部類に区分され、西洋医学とは区別されるものだと思いますが、西洋医学に対して東洋医学ってなんでしょう。」

 

「計」という字は、ある意味で近代以降の西洋医学を特徴づける字だと思います。計画、設計、計測、計量……「計」という字を含む熟語は無数にありますが、どれをとっても、そこには未来あるいは未知を、現在あるいは既知のなかに回収してしまおう、という発想があるように思います。本来予測不可能な未来を、予測可能性の中に回収して制御してしまおう、と。で、そういう発想に抗おうというか、「計」の思想とは違った行き方もあるんじゃないかっていう気持ちを、私たちは“東洋思想”という概念に託している部分があるんです。

 

「“東洋思想”は経営にとりいれられているんですか。」

 

 当初はマニュアルやルールを無くし即興で適当な対応ができる従業員を育成する必要があると思っていました。でも、これだと秩序がなくなってしまうんです。かといって、秩序を取り戻すためには管理を徹底すると従業員は能力を出さなくなってしまう。だから、「従業員の教育」を「振付師の指導」と同じだと思うようにしたんです。

 下手な振り付けって、それこそ「ふり」になっちゃいます。やってるふり、楽しんでるふり。「ふりになる」っていうのは、もう振付師に完全に制御されてしまって、設計された計算通りの状態ということで、それは本当の心からの動きではなく、見てても面白くない。一方、本当に良い振り付けをみていると「ふり」には見えない。まるで踊り手が自由に好きなように踊っているように見える。でも実際にはその背後に構想と構成がちゃんとあるわけです。制御や計画とは違うけれど、無秩序や無計画でもない。自然よりも自然な動きをつくってしまう、そういう一流の振り付けを見ていると、ああ、ここには「計」の思想とは本質的に違う「方法」があるなぁ、と感じ入ってしまいます。 その制御とか設計っていう方法論とは違う、こんな経営方法こそが、東洋思想なのかなって思ったんです。

 

「目標とするには難しい概念ですね。この考えは治療指針にも反映されているのでしょうか。」

 

治療ってそういうものだと思います。 「健康とはどういうことか」とか、「美とは何か」と問う代わりに、まだ未確定の意味をみずからの身体を通してつくりあげていく。そういう治療家でありたいと思っています。

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